こころ ほどけゆく

眼ある人は盲人のごとく 耳ある人は聾者のごとく 知慧ある人は愚鈍なる者のごとく 強い者は弱い者のごとく

こころをのせてこえにだす

こえにだして
ありがとう
といおう
にこにこわらって
はっきりと

こえにだして
ごめんなさい
といおう
こころのそこから
しっかりと

こころをのせて
こえにだすだけで
じぶんが
かわっていく
あいてが
かわっていく
みんなが
かわっていく


なあむ

りんじゅう

かみさま
わたしというみみかきに
うみを
いちどだけすくわせてくださいまして
ありがとうございました
うみ
きれいでした
このいってきの
ゆうやけを
だいじにだいじに
おとどけにまいります

(「りんじゅう」まど・みちお)



いったい
ひとは
それぞれ
どのような
りんじゅうを
むかえるのだろう?

ねがったとおり
おもいどおりの
りんじゅうを
むかえることは
なかなか
できないだろう

やすらかに
おだやかに
りんじゅうを
むかえるのか

ていこうして
しちてんばっとうの
りんじゅうを
むかえるのか

どのような
りんじゅうであれ
さいごのさいご

ひとは
ゆうやけの
たとえようもない
あのいっしゅん
のように
このうえなく
うつくしい
あんじんの
ひょうじょうを
うかべて
しずんでゆく


なあむ

なやみ

とりも
さかなも
きっと
なやむことはないだろう

くさも
きも
いちども
なやんだことはないだろう

やまも
かわも
けっして
なやんだりはしないだろう

なのに
なぜ
どうして
ひとだけが
うまれおちてから
しぬまで
なやみになやみに
なやむのだろう?


なあむ
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