こころ ほどけゆく

眼ある人は盲人のごとく 耳ある人は聾者のごとく 知慧ある人は愚鈍なる者のごとく 強い者は弱い者のごとく

「このひろびろとしろいページに
 くっきりとさいているか

 ことに
 むなしくふりあげられているあしあし

 いつか どんなふうなわけからか
 こえねばならなかったページであろう

 それは かがわるいのでもページがわるいのでも
 なにがどうだというのでもなかったであろう

 ああ
 このひつぎのようにしずかなページに
 おしばなともみえるおとのないかだ」

   (「ノートにはさまれてしんだか」まど・みちお)



ノートに
はさまれて
しんだ
かは
わたしだった
かもしれない


なあむ

おかね

おかね
さえあれば
なんでもてにはいり
おかね
がなければ
なにもえられない


ほんとは
だれひとり
おもってはいない
はずなのに

じんせいで
かけがえないものは
おかねでは
けっしてかえない


ほんとは
だれもが
きづいている
はずなのに

どうして

ひとは
これほど
おかねに
ほんろうされつづけるのだろう


なあむ

ほんとはしっている

ほんとは

ひとはみな
すべてを
はじめから
わかって
なにもかも
さいしょに
しって
このよに
うまれてきた

ことばを
かくとくして
ひとは
すっかり
わすれてしまう

ことばに
とうてい
おさまることのない
むりょうの
いのちのはたらき
むげんの
うちゅうのしんり

ひとはみな
はじめ
すべてを
りょうかいして
うまれてきた


なあむ

つながる

つながる
まどをあけて
せかいとつながる

つながる
てとてをつないで
ひととつながる

つながる
おちゃをのんで
うみとつながる

つながる
いきをすって
もりとつながる

つながる
そらをあおいで
つきたいようとつながる

つながる
あめにぬれて
くもとつながる

つながる
つながる
つながる

やさしいきもちで
いのちとつながる
すべてとつながる


なあむ

き(じゅもく)をだきしめる

き(じゅもく)を
だきしめるのが
すきです

ふといみきのきを
みつけたら
ちかよって
うでを
いっぱいにひろげて
だきしめます

だきしめて
きのこどうに
みみをすまします
きのあたたさを
はだでかんじます

ふしぎなことに

きを
だきしめるようになって
これまでいじょうに
げんきになりました

どうやら

わたしが
きを
だきしている
からではなくて
きが
わたしを
だきしめてくれている
からのようです


なあむ
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